リプロダクションですが、家具のことがお詳しい方なら、どの様な物かすぐにお分かりのことと存じ上げますが、一応ご説明させて頂くと、昔の家具を再現した家具のことをいい、平たく言いますと【復刻家具】となります。
このリプロダクションの傾向は、ヴィクトリアン期後期(1876〜1901)には既に感じられ、色々な様式の良い部分を用いて、新しいカタチが生まれておりました。
現代でも、家具のアーティストが古き良き時代のデザインにインスパイアされ、新しいデザインの家具を製作されることがあります。但し、現代のリプロダクションの家具は、どちらかというと完全復刻を目指している部分の家具を差している様に感じられます。
それでは、ヨーロッパスタイルのアンティークとリプロダクションは何が大きく違うのでしょうか?
大きな違いは4つあり、生産地域、経年変化、塗装方法、デザイン性といったところと思われます。1つずつご説明させて頂くと、
■生産地域
現代のヨーロッパスタイルのリプロダクション家具は、ほとんどの物が東南アジアもしくは中国の生産が主流となっています。もちろん、ヨーロッパ本土で生産されている物もありますので、一概には言えませんが、東南アジア、中国と彫刻の文化が元々あり、ヨーロッパへの輸出商品が昔から多くあったことで、ヨーロッパの技術指導などを受ける生産場所も多くあり、また、ヨーロッパの家具メーカーの生産工場が東南アジアであるといったことも少なくありません。その為、ヨーロッパスタイルのリプロダクション家具を多く生産されているといった背景があります。
■経年変化
こればかりは、時の流れによる変化の為、アンティークの深い経年変化はまねることは困難と言えます。ただ、昨今では、エージング技法といったものがあり、新しい家具を古く見せる為のダメージや、質感が表面上施される様になり、時の流れを人の力で再現しようとすることが研究されております。
■塗装方法
アンティーク家具の塗装はほとんどが、天然樹脂(ニス)を使用しての物となります。リプロダクションの家具のほとんどが、科学樹脂(ウレタン、アクリル)を使用しての物となります。この違いは、リプロダクションでも天然の樹脂を使用することは可能なのですが、現代の使用環境から、科学樹脂を使用することで熱や水に強い塗装膜をつくることができ、使い勝手が良い物をつくることを考慮されての物となります。※天然樹脂と科学樹脂については、どちらも利点と欠点があります。
■デザイン性
正直なところ、挽きもの細工(ろくろ細工)やフォルム&スタイルは、アンティーク家具の需要が高まっている昨今、リプロダクションも高いレベルの物が生まれてきております。ただ、彫刻のレベルに関しては、未だ繊細かつ躍動感にあふれたレベルまでは到達しておりません。
日進月歩で、古き良き時代の家具を生産性のあるカタチで再現しようと努力しているのが、現状のリプロダクションといった内容となります。
また、アンティーク家具では、革の状態が良くない物が多い革張りのソファや、なかなか手に入れることが難しいディスプレイケース(4面もしくは5面ガラス)、カウンターテーブルなど、新築の方や店舗の方には魅力的な物が多いところから、最近では需要が高くなっています。
いつも長々とした文面となってしまい、本当に申し訳ありません。
本日は、リプロダクションのお話となりましたが、改めて、アンティークとの違いをご理解頂いた上で、アンティークの良さを感じて頂き、また、リプロダクションも考慮の一つとして持って頂けると幸いです。
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